「広島県産」の木材で家を建てるメリットとは?その隠れた素晴らしさ


 

「地域産の木材を使った家づくり」と聞くと、みなさんどんなイメージを持たれるでしょう。
「よくわからないけれど、なんだか良さそうだ」という認識の方も意外と多いのではないでしょうか?

その土地で育った地域材は、その土地の風土をよく知り、その地域に適しています。
日本の杉や桧の香りで満たされた住まいは、住む人を癒してくれるでしょう。

しかし、地域材を使う理由は“素材としての良さ”だけではないのです。
その家に住む人も、地域の人も、関わる人にも循環する「隠れた素晴らしさ」について、
少しお話をしてみようと思います。
 

日本の抱える問題…林業衰退と放置された人工林

戦後の拡大造林政策により、日本の森林の約4割は杉や桧の人工林となっています。
みなさんが暮らしていて目に見える「山」は、ほとんどがこの人工林。
 
 
人工林とは、おもに木材の生産目的のために、人の手で種を播いたり、苗木を植栽して育てている森林のことを指します。
戦後の復興期と高度経済成長期の経済発展により国産材の需要は増加を続けていたので、どんどんと杉や桧を植えたのです。

近年花粉症による問題が顕在化してきたのも、このことが原因とされています。

 

きちんと手入れされている人工林

人工林は、間伐などの育成作業(手入れ)をすることで良い材木を成長させることができ、
また人が管理をしなければ維持出来ない森林です。
 

ところがどうでしょう。
近年では安価な外国産木材の需要が高くなり、日本の林業は著しく衰退することとなりました。
戦後に植えられた木が育ち伐採して使えるようになるより先に、安価な外国産木材の輸入ブームが起きてしまったのです。

需要がないので、人工林ば伐採や手入れがなされず「放置林」が増えました。

 

放置された人工林

 

放置された人工林は土砂災害の要因に

間伐などの手入れをされない人工林は、木の密度が高く地面まで日光が届きません。
下草が生えずに土壌がむき出しとなり、雨水が浸透しにくくなります。

保水力を失った森林は、豪雨に耐えられず土砂を流出させ、山そのものを崩壊させる現象を引き起こします。
 

2014年土砂災害時の様子

2014年の広島市土砂災害時、住宅の裏山から根を付けたままの木が流れ出て家屋を押しつぶしている光景があったそうです。
崩れたのは、戦後に植林されたあと手入れがなされず放置された山でした。

このように放置林は、私たちの住環境に様々な負担を与えることにもなっているのです。
 
 

山の放置は川や海をももろくする

山と海は川の中を流れる水と土砂でつながっています。

広島県で1999年に起きた「6.29豪雨災害」の直後、地元の漁業関係者は悲鳴を上げていました。
災害で流れ出た土砂の影響は海にまで及び、海水は茶色に濁り、流木が大量に流れ着いたのです。

 

流木と土砂の流れ込んだ海

森林が保水力を失ったことに加え、上流部に砂防堰堤やダムがたくさん作られたことにより、山から海への土砂の供給バランスも崩れています。
山の養分が海に注がれにくくなり、海の中の栄養分も減少してきています。

山の管理をおこたり、荒れたままにしておくことは、山のみならず川や地域、海をももろくしているのです。
 

「広島県産」の木材で家を建てる、その隠れた素晴らしさ

このように、元来、人工林は「植林し、育て、伐採して使い、また植える」というサイクルを守ることで、森林としての機能を果たしてきました。
積極的に地域材を使うことは、このサイクルを復活させることにも繋がります。
 

素晴らしい家を建てて住む人に満足してもらうだけでなく、その地域の環境資源をも循環させること。
林業などの地域経済を元気にして、関わる人すべてが幸せになる家づくりができること。
「近くの山の木(地域材)で家を建てること」には、目には見えない素晴らしさがあります。
 

市場から買い付けた広島県産の丸太

製材所での製材風景

「どうして地元産の木にこだわるのですか?外国産や県外産の木ではいけないのですか?」
これが、時折投げかけられる質問への答えのひとつです。

木の家の香りや質感に心地よく癒され、それが地域の環境にも一役買っている。
そんなお家に住むということは、なんだか素敵だと思いませんか?
 
 

地域の山で植林をする環境教育イベントも継続中

 

 
私たちは「はつかいち漁民の森づくり」のメンバーとして、
毎年10月に植林活動・次世代の子ども達への環境教育を続けています。
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