新築のお家に上がった時、ツンと鼻にくる「新築の匂い」を感じたことはありませんか?
この匂いを不快と感じるか、あまり気にならないかは個人差がありますが、
中には、これが原因となってシックハウス症候群を発症してしまう人もいます。
新築特有の刺激臭の正体とは?
現代の一般的な住宅の中には、ホルムアルデヒドを使用した合板でつくられたフローリングや家具、壁紙を貼った接着剤など、さまざまな化学製品があることが一般的です。
新築時には、建物内にまだ生活臭がなく、
また建材に含まれた水分が時間をかけて徐々に乾燥していく段階でもあります。
水分が乾いていくのと同じように建材の中の化学物質も揮発し、その成分が空気中に漂うことで、この匂いを発生させます。
「新築特有の匂い」の正体は、この化学物質であることがほとんどです。
そんな中、自然素材の家は、この化学物質の揮発の心配が少ないのが大きなメリット。
調質性や消臭効果なども期待できるため、一般的な住宅と比べても住み心地がよいという意見が多く
アレルギーをお持ちの方や、小さいお子さんやペットのいるご家庭では、特に需要が高まっています。
自然素材の家で使われる建材ってどんなもの?
「自然素材の家」と聞くと、無垢のフローリングや漆喰、珪藻土の塗り壁のお家を想像される方が多いと思いますが、実際には種類もグレードも様々な建材が存在します。
何を基準に選んだらよいのか迷う方も多いのではないでしょうか。
一例として、永本建設では、下記の建材を標準仕様として扱っています。
構造材…広島県産材 杉・ヒノキ・松
住宅建材として用いられるものは一般的に杉、ヒノキ、松などで、それぞれに性質が異なります。
ヒノキは、優れた耐水性・耐久性をもち、強度も強いため、柱や土台などに使用。
また、松は粘りがあり、特に圧縮力に強いため梁や桁などの横架材に使われることが多くあります。
土台・通し柱にはヒノキ四寸角。管柱には杉四寸角。梁は杉(一部松)を使用しています。
これらの性質を熟知したうえで、一本一本違う木の育ち方、個性を見極め、適材適所に使用していきます。
壁・天井…湯布珪藻土
珪藻土は、珪藻の殻の化石を原料にして作られた素材です。
珪藻土を塗り壁材にするには「結合材」と呼ばれるものが必要で、これが接着剤であったり漆喰であったりしますが、使われている原材料によっては珪藻土の効果を十分に発揮できないものもあります。
「湯布珪藻土」は、自然由来のものだけを使った珪藻土塗り壁材。
一般的なメーカーの珪藻土との最大の違いは「接着剤」を使用していないということです。
結合材には自然素材のセルロースファイバーと食品のりを使用し、自然素材100%の珪藻土として、壁材に使用しています。
珪藻土の多孔質なナノサイズの小さな穴に湿気が出入りすることで、夏も冬も室内の湿度を快適にコントロールしてくれます。
また、接着剤を使用しないことで、湿らせると粘土状に戻るという性質をもつため、「壁に傷や汚れがついても簡単に直せる」というメリットもあります。
床材・造作材…広島県産材 杉・ヒノキ
昔から馴染み深い杉や桧は、柔らかく優しい手触りが特徴。
特に杉はその空隙率により、空気の層が断熱効果を生むため保温性に優れています。
「寒い冬の朝に素足でも冷たいと感じない」との声もあるほど、住む人にやさしい床材です。
仕上げは無塗装または自然オイル塗装で仕上げることで、時間を積み重ねただけ味わいを増す「経年美」を得られます。
適材適所の素材を、好みやコストを考慮しながらバランスよく使おう
自然素材を選ぶときは、それぞれの素材の特性をよく知り、適材適所でバランスよく取り入れることが大切です。
たとえば壁・天井。
リビング・ダイニングなどの長時間過ごす場所には珪藻土を使い、その他の居室などは環境クロス(珪藻土を表層紙に漉き込んだ、紙の良さと珪藻土の良さを合わせ持った壁紙)を使うなど。
こうすることで多少のコストダウンを図ることができ、自然素材を無理なく取り入れることができます。
床材では、リビング・ダイニングでは無垢フローリング張りとし、キッチンのみタイル貼りにするという例も。
無垢フローリングは素晴らしい素材ですが、水はねや汚れには弱いといったデメリットもあるので、うまく使い分けることも検討してみましょう。
中には、洗面・脱衣室やキッチンにも無垢フローリングを採用するという方ももちろん居られます。
自然素材にもさまざまな種類があり、それぞれに特性があり、コストも様々。
好みやコストバランスにも気を配って、見た目にも美しく心地よい空間をつくりたいものですね。