空き家再生で実現した、地域に根差した住まい方

近年、社会の抱える課題にもなっている「空き家」問題。

高齢化社会が進む我が国において、空き家が急増していることが主な原因で、
今後も団塊の世代を含めた高齢者が増えていくことにより、
特に山間部など利便性の良くない地域では空き家がさらに増加することが予想されています。

一方で、そんな空き家を取得しリフォームして住まうなど、
地域に根差した住まい方を実現する動きにも少しずつ注目が集まっています。

今後の空き家活用のモデルとして参考にできる住まいの実例をご紹介します。

地域に根差した住まい方を叶えた空き家再生の実例

譲り受けた古民家をフルリノベーション

「負の遺産とするよりも、誰かに住み継いでもらえたら」。
そう願う所有者との縁があり、空き家となっていた古民家を譲り受けたご夫婦。
夢であった「木の家に住むこと」を、リノベーションで実現されることになりました。
 

リノベーション前

リノベーション前


 

 

 

1. 大胆な間取り変更

 

 

穏やかな瀬戸内海を一望できる立地を活かし、南側の開口を中心に間取りを計画。

古民家特有の間取りを大胆に変え、元は仏間であった場所を大空間のLDKに変更しました。
さらに階段位置も変更し、両親や友人の来訪に備えてゲストルームを増築しています。
 
 
 

不要となった洋室はビルトインガレージへと変更。
アウトドア用品を収納できるよう造作棚を設けるなど、使いやすい空間へと変化しました。
 

 

 

2. 既存の構造を生かす


 

解体時に現れた天井裏の木組みは、曲がり材などをそのまま活かしたダイナミックなもの。
これらの古材を現わしつつ、新たな壁・天井を造作し、適材適所に新しい材を組み合わせ強度を高めました。

新たに入れた木材は、広島の気候風土で育った地域材とし、内装・外装ともに自然素材を使用。

飴色に変化した古材の経年美を活かし、敢えて上から塗装などはせず、
大工の細やかな手刻みによって新たな材と古い材とを融合させています。
 

 

 

3. 耐震面・断熱面の不安を解消


 

ベタ基礎補強や構造柱の取り替え、さらに断熱改修が容易に行えるのは、
構造躯体のみを残すスケルトンリフォームならではのメリット。

古民家特有の「暑さ寒さ」を解消するべく断熱材を隙間なく吹き付け、
耐震面・断熱面の不安を払拭することで、快適な居住性を叶えました。
 

 

 

暮らしをより豊かにする工夫とアイデア

 

1. 薪ストーブの設置


 

実家でも使っていたことから薪ストーブの魅力は了解済みだったといい、
新居にも迷わず採用。

暖気を循環させるため、1階天井から2階壁へと抜ける小窓を計画するなど、
施主のアイデアが随所に活かされています。
 

2階寝室の壁に設けた暖気口

 

 

 

2. 眺めを活かした開口


 

「ベッドに寝そべったままでも海が眺められるように」とご夫婦がもっともこだわった、2階の南側大開口。
寝室の一角にはワークスペースを造作し、静かな環境で落ち着いて作業ができます。
 

窓からの眺め


 

 

 

3. 無垢素材と手仕事へのこだわり


 

造作家具や建具なども無垢素材と職人の手仕事によるこだわり。

キッチン、バック収納棚ともにオーダー、吊戸棚は大工の造作で、材質を合わせることで違和感なく馴染んでいます。

新旧が調和した心地よく上質な空間が実現しました。
 

 

 

空き家再生で、地域に根差した住まい方を実現した例

海からの風が一直線に抜け、車の往来も少ない場所で、時が止まったような居心地の良さを感じられる古民家。
都心から移り住んで間もないというご主人も、奥様の生まれ育ったこの環境をすぐに気に入ったそうで、趣味の釣りや野菜作りといったスローライフをご夫婦一緒にエンジョイされています。

また、元の所有者に改修後の住居をお披露目する機会があり、空き家の生まれ変わった姿に感動して帰って行かれたのだそう。

 


 

構造のみを残すフルリノベーションで課題を解消

今後、ニーズが拡大していくことが予想される空き家活用。

築年数の高い空き家においてネックとなる耐震性や断熱性においても、
構造のみを残すフルリノベーションで課題を解消することが可能です。

農地関連、建築関連法規により新たに建物を建てられない等の規制への対応策としても、「空き家再生」はさらなる可能性を秘めています。
 

 

 

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