薪ストーブの設置場所と思い浮かぶのは、やっぱりリビング。
ストーブの周りはぽかぽかとあったかくて、炎のゆらめきはいつまで見ていても飽きない…
そんな魅力があるから、「家族が個室にこもらずに、気がついたら自然とリビングに集まるようになりました」といった声がたくさん聞かれます。
薪ストーブの効率が一番よい設置場所は?
輻射式の薪ストーブは、360度すべての面に熱が放射されるため、無駄なく暖房効率を上げようとすると、ストーブは部屋の中央に置くのが実はベスト。
仮に部屋の角に置くと、360度のうち90度分しか放射された熱を利用できないので、熱効率は悪くなってしまいます。
とはいえ、リビングの中央にドーン!とストーブを置くというのは、結構なスペースをとりますし、ある程度の部屋の広さがなければ生活導線に支障が出てしまい、現実的ではありません。
そんな理由から、薪ストーブの設置場所はリビングの中央というよりは、壁側に設置するのが一般的。
その上で、極力中央に近い位置を選ぶと良いでしょう。
薪ストーブで部屋は
どうやって暖まる?
薪ストーブの輻射熱は人体を直接暖めてくれますが、部屋の空気も暖めてくれます。
暖められた空気(暖気)は、部屋の上部に昇っていき、これを「上昇気流」と言います。
上昇気流が発生すると、部屋の上部にあった冷たい空気が暖気に押され、下にたまってきます。
その冷たい空気が薪ストーブによって暖められ、今度は上昇気流となって上部に昇っていき、
冷たい空気が下に押し返され…という循環を繰り返し、対流を起こします。
この対流によって、部屋の空気を徐々に暖めていきます。
だから、この「上昇気流」を妨げないレイアウトが理想なのです。
対流は空気の流れなので、その流れをなるべく妨げないことが効率のよい暖房につながります。
具体的には、柱、壁、吹き抜け、階段などの構造物、窓や出入り口、大きな家具は
少なからず上昇気流を妨げる可能性があります。
吹き抜けに薪ストーブは
暖房効率が悪い?
吹き抜け部分に設置され、煙突がすっと天井まで伸びている薪ストーブの姿はとても格好いいものです。
しかし、吹き抜け部分に設置する場合は、対流の見極めが必要になります。
というのも、対流が上手に起きないと、2階にだけ暖気が集まり、1階は冷えたまま2階ばかりが暑くなってしまうのです。
もし、吹き抜けへの設置を考えているならば、階段の位置を調整するなど、対流を意識したプランを専門家に練ってもらうことをおすすめします。
対流が起きないと、せっかく薪ストーブを設置しているのに暖気は2階に上がる一方で、
2階は暑く1階が寒いという状態になってしまう可能性があります。
吹き抜けから暖気が上がり、冷たい空気は階段をつたって降りてくる、「対流を起こしている」例。
このような対流を起こすようなプランニングができれば、吹き抜け下の設置でも家を十分に暖めることができます。
効率よく家全体を暖める
いろいろな設置例
ストーブ近くの天井にガラリをつくり、2階の寝室に直接暖気を送る工夫をほどこしたプラン。
2階の煙突が貫通している空間に洗面脱衣室をつくり、部屋干し時に洗濯物が乾きやすい工夫をしたプラン。
薪ストーブの熱効率を意識しつつ、お気に入りの場所に設置しよう
部屋のレイアウトか、薪ストーブの暖房効率か、どちらを優先するのかは悩みどころ。
けれども、薪ストーブの設置ありきで間取りを検討できるのは、新築時に設置するからこそ。
お庭からの薪の搬入がラクな導線にしたり、
ストーブの炎を眺めやすい位置にソファが置ける間取りにしたり、
実際の生活を想像しながら間取りを考えるのは大変でもあり、楽しいものでもあります。
また、今お住まいの家に新たに薪ストーブを設置する場合は、
屋根に煙突を通す穴を開けたり、床の補強が必要となる場合もあるので、事前にしっかりとした調査が必要です。
「ここにストーブを置いて、ここから眺めるとどうかな?」と、
イメージを膨らませながら配置計画を楽しみましょう。